首の骨(頚椎)の痛みの原因と症状ごとの対処法について
首の骨の痛み、日常から肩こりや首のこりなどを感じている方には多い症状です。では、実際に首の骨の痛みによる原因で起こりうる病気にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なものとしては、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症など、症状の重い物もあります。
最近では、首への負担になる仕事であったり、普段日常で多くなったスマートフォンやタブレットなどによる、ストレートネックなど、首への負担が多くなっています。
今回は、そのような首への負担による痛みの原因と、症状の対処法についてお話します。
目次
首の骨(頚椎)の原因での痛み
首の痛みは、ここ最近でのパソコンやスマートフォン、タブレットなどの普及により多い症状です。国民全体の7割ほどの方が一度は経験すると言われています。
首の骨(頚椎)は、成人の方の頭の重さ、約6~8㎏、スイカの大玉ぐらいの物を支えていて、あらゆる動きに対してコントロールしています。その為、日常から大きな負担が首の骨(頚椎)にかかるのです。
加齢による筋力低下や、運動不足によっても、首のこりや、寝違えなども起こします。
首の骨(頚椎)の構造
首の構造は3つの組織から構成されています。
1.骨と椎間板
2.筋肉とじん帯
3.神経
では、1つずつ説明していきましょう。
1.骨と椎間板
頚椎とは、脊椎動物の脊柱最上部に位置する、7つの骨(1つ1つを椎骨と言います)から構成されています。
1番上の第1頚椎を環椎、2番目の第2頚椎を軸椎、3番目~6番目を第3頚椎~第6頚椎、7番目の第7頚椎を隆椎と呼びます。
7つの頚椎が重なり合い、中心部にできた穴が管の様になります。
これを脊柱管と呼び、この中には、脊髄神経が腰まで伸びています。
頚椎1つ1つの間にはクッションの役割をしている、椎間板という組織があり、上下の骨がしっかりと連結するようになっています。
※第1頚椎と第2頚椎の間には椎間板は有りません。
2.筋肉とじん帯
首の周りの筋肉には、頚椎どうしを結びつける筋肉と、頭の後ろにある後頭骨と胴体を結びつけるものがあります。
じん帯は首の前後、側方から連結し頚椎に一定の以上の動きにならないように制限をしています。
首のじん帯には、3つあります。
①前縦じん帯
②後縦じん帯
③黄色じん帯
これらが、頚椎を支えています。
3.神経
首の神経は3つあります。
①脊髄
②頚神経
③自律神経
この3つに分けられます。
①脊髄
脊髄は脳とともに神経の中枢なので、中枢神経と呼ばれてます。
脊髄は硬膜、くも膜、軟膜と3つの膜で保護されてます。
頚椎にある脊髄は頚髄と言われ、大人の人差し指ぐらいの太さと言われております。
②頚神経
頚神経は、脊髄から出ている前根(運動神経線維)、後根(地殻運動線維)とが合わさって、頚神経になります。
頚神経は第1頚神経(C1)から第8頚神経(C8)まで、左右1対ずつ合わせて8対あり後頭部、首、肩、腕、手の運動と近くを支配しています。
③自律神経
自律神経は内蔵、耳、目、汗腺、血管などを支配し、これらの機能を調整していますが自分自身では変化させることができません。
自律神経には、交感神経(攻撃)と副交感神経(安静)から成り立っています。
首の骨(頚椎)の主な障害
首の骨(頚椎)には、沢山の生命にとって、大切な神経が通っています。生活の中で、様々な動きの中で手を使ったり、暖かい、冷たいなどの感覚を司っているのは、首の骨(頚椎)から来ている神経です。この神経に障害が起こると、首、肩などの痛みや、腕に走るようなしびれ、力が入らなくなったりします。
首の骨(頚椎)に原因が有る代表的な病気
頚椎椎間板ヘルニア
加齢によって上下の頚椎をクッション代わりに支えている椎間板というものが、押しつぶされて飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれを出します。その他、骨棘(骨が長年の圧迫によってとげのようにとがること)というものが首の神経を刺激することでも痛みを出します。
頚椎には先ほども説明したとおり、頚髄(脊髄)という神経組織があり、脳から肩、腕、手先に送られるすべての信号は、この頚髄によって送られます。
各頚椎の間には、椎間板というクッションの働きがある組織があり、この椎間板が普段の姿勢や、生活習慣によって、本来あるべきところから出てしまい、神経を圧迫してしまうことが頚椎椎間板ヘルニアです。
頚椎椎間板ヘルニアの主な原因
椎間板が飛び出してしまう大きな原因として、姿勢、スポーツや運動のやりすぎ、交通事故によるむちうち、老化、もともとの体質などがあります。
老化現象による機能の低下として、椎間板は常に重い頭を支えているので、圧力かかる所なので、組織の中でも最も早く老化が起きる所でもあります。
そのため、劣化が進み中の髄核が飛び出して、神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こすのです。
頚椎椎間板ヘルニアの主な症状
頚椎椎間板ヘルニアの主な症状として、下記にの症状があります。
1.首、肩の症状
寝違え、首こり、肩こり、背中の痛み、胸の痛みなど
2.腕や手の症状
腕のだるさ、手のしびれ、むくみ、筋力低下(腕や握力)など
3.頭や顔の症状
頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、ふらつき
4.下半身の症状
歩行時痛、排尿困難
頚椎椎間板ヘルニアの場所による症状
1.頚椎第3.4神経根の障害
呼吸がしにくい
2.頚椎第5神経根の障害
上腕の感覚の異常
肘を曲げられない
腕を上げられない
3.頚椎第6神経根の障害
前腕の感覚の異常
手首を上に反らす事が出来ない
4.頚椎第7神経根の障害
中指の感覚の異常
肘を伸ばせない
5.頚椎第8神経根の障害
薬指、小指の感覚の異常
手の指を握れない
6.胸椎第1神経根の障害
前腕外側の感覚の異常
手の指を広げることが出来ない
変形性の頚椎症
ここ最近で非常に多くなってきた、頚椎症ですが、パソコンの普及、スマートフォンやタブレットなどによる仕事量の増加などに伴って増えている首の病気です。やはりこの頚椎症も加齢や日常生活の負担などによって、椎間板の柔軟性が低下をして、クッションが弱くなり、首の骨(頚椎)に強い力が入りすぎて変形します。
頚椎症の症状
・手やゆびのしびれ
・感覚異常
・手や指の動作が思うようにいかない
・排泄障害など
脊柱靱帯骨化症
脊柱(背骨)の骨同士をつなぐ靱帯が厚くなって骨化していく病気です。原因はまだ不明で、骨かによって脊髄が圧迫されると、首の骨(頚椎)の痛みやしびれなどの、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症などの同様な症状が現れます。この病気はしっかりと専門の医師によって確定診断を受ける事をお勧めします。
※脊柱靱帯骨化症は血糖値の高い人に多く見られることが多く、糖尿病との関係性があると推測されます。
その他
肺炎などによって細菌が首の骨(頚椎)に感染しても痛みが出ます。この場合は抗菌薬によって治療をします。
首の骨(頚椎)に症状が出た時の対処法
パソコンやスマートフォン、タブレットの普及によって長時間の同じ姿勢を取る事が一番、首の骨(頚椎)に負担がかかります。この様な負担をさけるためにも対処法が必要になってきます。特にデスクワークなどで、長時間同じ姿勢を続けると首の骨(頚椎)や筋肉に大きな負担になります。1時間に一度は席を立ち、次のような運動をしましょう。
首の簡単で軽いストレッチ体操
①首を前に動かす。
②首を後ろに動かす。
※この運動の時には両手を首の後ろにあてがうといいでしょう。
③首を左右に動かす。
首を動かすにはこの様な簡単なストレッチ体操が良いかと思います。
決して、首を回すような体操は行わないでください、かえって症状を悪化させる場合があります。
④肩先に手を添えて、肘を大きく回す。(前回しと後ろ回しを5回ずつ)
⑤腕を上げてブルブルふるわす(腕を下げてブルブルふるわす)
セルフケア
・首や肩の軽いストレッチ体操
・首や肩の軽いマッサージ
・冷却※詳しくは⇒頚椎ヘルニアでの痛みを自分で改善する方法
・保温
などがあります。
まとめ
人間の体の中で一番といってもいい大事な場所でもある首の骨(頚椎)、日常からの姿勢を意識することによって負担を少なくして、症状を出さないようにすることが大事だと考えております。この記事によって未然に防ぐことが出来たら幸いです。
本日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。