椎間板ヘルニアの症状が背中に出るケースについて
背中に痛みやしびれなどの症状が出るものとして、肩こりや椎間板ヘルニアなどが原因で起こるものがあります。今回はその中でも椎間板ヘルニアでの症状についてお話します。
椎間板ヘルニアの中で、頚椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアはよく耳することが多いと思いますが、脊柱の中で中心にある「胸椎」にも胸椎椎間板ヘルニアがあります。症状が似ていることから頚椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアに間違われますが、実際は全く違います。
ある文献によると、外科的治療を行うことで、50%の確率で、脊髄損傷を起こす危険性があることがわかっています。それぞれの椎間板ヘルニアのなかで最も危険なヘルニアだということです。
では、背中に症状が出た時に椎間板ヘルニアがどの部分が原因か、症状や改善方法などを解説していきたいと思います。
目次
背中の痛みの種類
背中の痛みで最初に思い浮かぶのはやはり肩こりですね。症状がひどく特に肩甲骨周りや、肋骨の方まで痛みが広がり場合は、他の疾患も考えなければなりません。では、背中の痛みでどのよう種類や場合があるのか、症状や対処法などを説明しましょう。
肩こりの場合
背中や肩甲骨周辺に痛みや凝りがある場合は肩こりを疑います。肩こりは肩甲骨周辺の血行不良が原因で痛みや凝りの症状を出します。
肩こりのメカニズム
「肩こり」「肩がはる」「肩がだるい」など、肩こりの表現方法は沢山あります。肩こりはいわゆる、筋肉が緊張している、縮んで固くなっている状態のこと言います。筋肉はゴムの様に伸びたり縮んだりします。この筋肉が緊張し続けて肩こりという症状が出るのです。では、肩こりがどのようにしてなるのか、肩こりの状態がどのようになっているかを説明していきましょう。
主に緊張する筋肉
僧帽筋と肩甲挙筋がもっともコリやすい部分で、こちらにコリが発生すると、肩こりという症状が出ます。他にも様々な筋肉があります。体のバランスによってはコリの場所が変わってきますので、チェックしておきましょう。
肩こりの対処法
肩こりの痛みは血行不良や緊張が多いので、それを改善する為には、整体やマッサージ、温熱療法があります。その他、ご自身での体操やストレッチも紹介しましょう。
(1)肩甲挙筋ストレッチ
肩こりが起きやすい筋肉は、僧帽筋と肩甲挙筋とお話しました。特に肩甲挙筋のストレッチについてお話します。肩甲挙筋は、首の骨(頚椎)と肩甲骨をつなぐ筋肉で、肩甲骨を上へ引き上げる働きをしています。前傾姿勢が多く続く作業の人やストレートネックの方も肩甲挙筋が引っ張られ緊張してしまいます。このストレッチはそれぞれの緩和に役立ちます。
※右の肩甲挙筋の場合です。
①右肩が上がらないように手で右肩を押さえます。
②鼻先を左肩に近づけるようにします。
③肩や体が前傾姿勢にならないように背筋を伸ばします。
左側も同様に行ってください。
ストレッチは強い刺激を入れてしまうとかえって筋肉が硬くなってしまうので、少し伸びているぐらいでとどめてください。あと、痛みしびれなどがある時はなるべく控えるようにお願いします。
(2)両肩のストレッチ
首から両肩全体のストレッチになります。
①腕をお尻側で組みます。
②頭を後ろにして、腕をできるだけ反るようにしてください。この時に左右の肩甲骨がよっているイメージをするとやり易いです。
ストレッチを行う時は姿勢を意識して行いましょう。
椎間板ヘルニアの場合
椎間板ヘルニアの種類として、頚椎椎間板ヘルニア、胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。背中に症状が出る場合は全部の椎間板ヘルニアを疑いますが、特に今回は胸椎椎間板ヘルニアでの背中の症状について後程説明します。
※頚椎椎間板ヘルニアを詳しくは⇒突然襲った頚椎ヘルニア、その症状や改善方法をお答えします。
※腰椎椎間板ヘルニアを詳しくは⇒ほっとくと怖い!腰椎椎間板ヘルニアが進行した時に現れる症状とは?
椎間板ヘルニアでの対処法
多くの椎間板ヘルニアが原因と考えられる場合はすみやかに専門の医療機関に行き、適切な処置をしてもらいましょう。症状がひどくなれば日常生活にも影響しますので、早めの受診をお勧めします。
肋間神経痛の場合
肋間神経痛は胸郭と呼ばれる所にある、肋骨に沿っての神経が何らかの原因によって、痛みが生じるものを言います。この肋間神経は胸部やわき腹、背中などの広い範囲に分布しており、肩甲骨周辺にも肋間神経は存在するので、背中、肩甲骨周辺の痛み肋間神経痛という可能性があります。
肋間神経痛の対処法
肋間神経痛は原因不明のことが多く、疲労の蓄積や運動不足による筋力低下などが考えられるので、整体やマッサージ、もしくは鎮痛剤を服用するのも治療の一つでもありますが、不良姿勢の方がなりやすい傾向にもあるので、姿勢は正しくすることをお勧めします。
心臓疾患の場合
左の背中や、肩甲骨周りだけが痛い場合は心臓疾患の可能性も考えられます。心臓疾患1つに「狭心症」は左わき腹や背中などに症状が出たり、動悸や息切れなども症状としてあります。
心臓疾患の対処法
すみやかに専門の医療機関で、診断、治療を施してもらいましょう。決して自己判断はしないでください。心臓疾患の場合の原因は様々ありますが、ストレスや禁煙、運動不足など、日常生活を改善することもお勧めします。
肝臓疾患の場合
右の背中、肩甲骨周り痛みがある場合は肝臓、胆のうに病期があると疑ってください。右肩甲骨周辺の筋肉は肝臓、胆のうにつながっているためです。
肝臓疾患の対処法
肝臓の場合、日常でのストレスやお酒よる影響が強いため、背中全体や、腰にも痛みが広がった場合はすみやかに専門の医療機関で、検査を受けてください。暴飲暴食はさけ、日常生活を改善するなどを心がけましょう。
胸椎椎間板ヘルニア
胸椎椎間板ヘルニアは他の椎間板ヘルニアの中でも最も危険なヘルニアです。なぜ危険かというと、胸椎の部分には脊髄が通っており、その通り道が狭いため、外科的処置で脊髄を傷つける恐れがあるからです。腰椎椎間板ヘルニアの場合はその付近に脊髄が通っていないため、傷つける危険性がありません。※脊髄は第12胸椎から第1腰椎で終わります。
胸椎椎間板ヘルニアは非常にまれな疾患です。理由としては、胸郭という場所で、椎間板自体に、動きが少ないことと、日常生活の中で胸椎部分に負担のかかる動作が少ないからです。
胸椎椎間板ヘルニアの原因
一般的に背骨と言われている脊椎には、頚椎、胸椎、腰椎があり、背中の真ん中に胸椎があります。胸椎は12個あり、その椎骨の間には椎間板というクッションが存在します。椎間板にはそれぞれの椎間板にも存在する、ゼリー状の髄核があり、その外側を線維輪が包み込んで椎間板と呼びます。
この椎間板が変性をして、中に存在する髄核が線維輪を壊して外に出てしまい、そこに通っている脊髄や硬膜管などが圧迫されて、痛みやしびれなどの様々な症状を引き起こすのです。髄核は中央に出ることが多く、腰椎椎間板ヘルニアのように側方に出て神経を圧迫することはありません。※神経根を圧迫すると、肋間神経痛が出ます。
頚椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアと比較すると非常にまれで、歩行障害が出た場合は手術が必要です。
胸椎椎間板ヘルニアの症状
胸椎椎間板ヘルニアの特徴的な症状として、足のしびれや脱力感があります。その症状での身体への影響は
・少しの段差でつまづくようになった
・歩いている時にあしがもつれるようになった
・階段を降りるときに手すりにつかまるようになった
などがあります。
胸椎椎間板ヘルニアによって、背中の痛みや肋間神経痛にも似た症状も出ます。なかには症状を感じない人もいます。その他に先ほどの足の症状が進行していくと、排尿障害や残尿感が出てきます。このほかの症状としては、触覚障害や、肋間にかけての痛み、膀胱や直腸障害などもあります。
胸椎椎間板ヘルニアの予防と治療
特に予防法はありません。歩行障害や排尿、排便障害がはっきりと症状で出た場合は手術が必要になります。専門の先生としっかりと話し合いどのような治療が適切なのかを話し合うことが重要になります。
まとめ
それぞれの椎間板ヘルニア、今回は胸椎椎間板ヘルニアに焦点を置いてお話しましたが、やはり、日常生活を少しだけ見直して、改善すれば椎間板ヘルニアになりづらくなることがわかって頂けたと思います。ご自身で判断せず、診断、治療を早めにすることをお勧めします。
本日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。